はじめに
副業を行う方の多くは、開業届を出して青色申告を行うと思います。青色申告を行うと
・本業の所得に65万円の控除を適用できる
・副業の経費を本業の経費に適用することができる
といったメリットがあります。
その際に、日商簿記3級(以下、簿記3級と表現)を取得しておくと副業として行う事業の会計処理がスムーズに行えます。
そこで、これから開業届を出す、もう開業届は出したけど簿記の取得はこれから、という方に「どのように勉強して簿記3級を取得したか?」を中心に記事を書こうと思います。
簿記3級の取得をどのように進めたか?
1.勉強時間の目安を確認
ネットで調べていると50~100時間くらいに収まるようですが、なんとなくそれくらいかかるんだなー、くらいでしかみてませんでした。結局、合格するまで勉強するしかないので。
2.勉強道具の準備
結論からいうと以下のものを準備しました。
・テキスト
・模擬試験パック
・電卓
・耳栓
テキスト
Udemy内の動画「スキマ時間でビジュアル簿記3級~元予備校講師によるビジュアル動画レクチャー」を利用しました。テキストだけでなく、紙の模擬試験も1回分ついています。私の会社はUdemyBusinessを無料で利用でき、かつ、評価も高かったため利用しました。Udemyではありませんが、クレアールの簿記3級パックも安いのに、内容がよいようです。
模擬試験パック
2つ使いました。1つ目は、上記テキストと対応する模試「予備校講師直伝の日商簿記3級模擬試験実戦答練」です。こちらもUdemyBusinessで無料で利用できました。難易度は本番よりちょっと難しいくらいでした。
2つ目は、「クレアール簿記検定 3級模擬試験パック(CBT試験対応)」です。上述のテキストと模擬試験パックでは、模擬試験の数(計5回分)が足りなかったので追加でクレアールのものを購入しました。8回分の模試(ネット試験4回分、紙の試験4回分)がついています。受験後の感想としては、合計13回分の模擬試験はちょうどよい分量でした。
電卓
家にあったものを使いました。生産中止されているので、リンクは乗せません。試験では、利用を禁止されている電卓があるので公式ホームページ(ページ内を「計算器具」で検索してください)で内容を確認しましょう。もちろん、スマホの電卓は利用不可です。
耳栓
「MOLDEX モルデックス Meteo 6870 耳栓 8組セット」を利用しました。
簿記用に購入したものではなく。普段から利用している耳栓です。本番となるべく同じ環境で模試を受けるために、模試を解くときはこの耳栓をつけていました。遮音性も高く、Amazonでのレビューも高評価です。
なお、耳栓は試験会場で配ってもらえます。というか、試験の持ち物に耳栓は書かれておらず、「イヤーマフが各席に置かれている&希望者には受付で追加で耳栓を配布する」となっています。私は、慣れないものを使って試験中に気が散るリスクをさげたかったので受付で耳栓に細工がないことを確認してもらい、自分の耳栓を利用しました。
3.ゴール設定
テキストや模試の分量から逆算して、「約2ヶ月」での合格をゴールに設定しました。
具体的には、2024年1月15日から勉強をはじめて、3月末までに取得を目標(合計2ヶ月強ほど)と設定していました。内訳はテキストの動画14.5時間分を2倍速で1日30分視聴で15日、土日に1日1回分模試を解いて、計5回分3週間、予備で1ヶ月くらいととてもざっくり計算していました。
実際は、模試で思うような点数が出ずに更に1ヶ月ほど遅れて、4月30日に簿記3級に合格しました。合計3ヶ月半ほどで合格できたことになります。
4.勉強の実施
結果から書くと、勉強は60時間ほど実施しました。
テキスト:約22時間(14.5時間を2倍速で視聴し、3周)
模試:約32時間(13回分を回答1時間+見直し1.5時間、4回分再試験し回答1時間+見直し0.5時間)
時系列に書くと、まず、テキストとして利用していた動画の視聴完了には1ヶ月ほどかかったと思います。また、動画は隙間時間(通勤時間中など)に見返したりしていました。合計約3周しました。約とかいているのは、3周目は試験で間違えた部分やテキストの目次を眺めて記憶があやふやだと感じた部分を重点的に見返していたためです。
2月中旬に受けた最初の模試は、34点で合格ラインの70点の半分くらいでした。時間も制限時間内の60分では終わらず、30分ほどオーバーしていました。そこから地道に間違った問題の見直しも行いましたが、もともと準備していたテスト5回分をこなしても最高点数は60点でした。
合格ラインに届かない主要な原因は、①知識不足、②第3問(精算表、損益計算書、貸借対照表などの作成)の決算前整理事項の仕分けに時間がかかることだったので、追加でクレアールの模試(計8回分)を購入して、実践形式で対策しました。①の知識不足に関しては、模試の数をこなせば頻出問題はすべてカバーでき、間違った問題は愚直に復習して記憶に定着させました。また、②の決算前整理事項の仕分けに時間がかかることに対しては、複雑な計算(減価償却費や前払費用、未払費用など)以外はメモ用紙に仕分けを記載せずに、精算表などの回答用紙に直接回答をすることで対策しました。その結果、9回目の模試以降はすべて合格点が取れるようになりました。
最後の模試は、本番の試験を予約して、その前日に受験するようにしました(本番の試験は13回中12回目の模試が終わった時点で予約しました)。模試と本番の感覚が空いて、勘が鈍るのを防ぐためです。また、最後の模試はクレアールのネット試験1回分(準備した模試の13回の中ネット試験は4回分のみ)を当てるように工夫しました。本番の試験をCBT形式(ネット試験)にしたため、こちらもネット試験の勘を鈍らせない目的でした。
5.本番の試験
必要な準備はした認識だったので、当日は試験を受けるのみでした。結果、86点で合格できました。試験時の工夫としては、試験会場の受付で私物の耳栓を利用できるよう交渉したくらいです。軽く細工がないか?を確認されましたがスムーズに承認してもらえました。
簿記3級を勉強するにあたっての注意点はなにか?
1.テキストを覚えることにこだわらない
テキストの丸暗記は効率が悪いので、テキストの動画は1周さらっと視聴するくらいで十分です。1周みてれば、簿記ってこういうものかな?というイメージができるのでそれで十分です。
そう考える理由は、本番を解くまで、実践で使える知識になっている部分とそうでない部分の見分けがつかないからです。なので、テキストを1周して、なんとなく知識がついたら「模試を解く」→「間違った箇所をテキストで復習する」→「間違った箇所の関連箇所をテキストで復習する」とすると効率がいいです。
2.試験時間を短縮する工夫をする
試験を受ける上での最大の問題は、試験時間が足りないことだと思います。模試の時点から時間短縮の工夫をしましょう。特に効果があったと感じる工夫を記載します。
第三問の仕分けはなるべく書かない
第三問の仕分けを書きましょうとしているテキストやブログがありますが、私は複雑な計算が必要な仕分け(減価償却費や前払費用の計算など)以外は時間の無駄だと思っています。例えば、「現金過不足3000円の原因は、収入印紙の購入費用だとわかった」のような問題はわざわざ仕分けを書かずに回答用紙の必要箇所にそのまま回答をしてしまうようなイメージです。
勘定科目は略語を使う
勘定科目は正式名称を使わずに略語を使いましょう。減価償却費の計算時にも、「減価償却費」、「減価償却累計額」と書かずに、「げんし」、「げんる」と書くようなイメージです。
3.なるべく本番と同じ環境で模試を受ける
本番を平常心で受けるためにも、模試はなるべく本番と同じ環境を整えましょう。私がした工夫は以下の通りです。
模試にネット試験を取り入れる
本番がネット試験だったので、模試にネット試験を取り入れました。逆に、本番が紙の試験の場合は、紙の試験のみで対策されることをおすすめします。ネット試験は、キーボードとディスプレイを目線が行ったり来たりします。受験時の回答の難易度が高くなるので、紙の試験で受験される方はネットの模試は避けることをおすすめします。
模試の金額記入にはコピー&ペーストを利用しない
これは本番の試験を受けてから気づいたのですが、本番の試験では回答を行う画面でコピー&ペーストができなくなっています。模試を受けるときに、借方と貸方で同じ金額であっても両方金額を手打ちで入力するようにすると本番受験時に焦らずにすみます。
日付が許すなら紙の試験で受験したほうがよい
日付が許すなら紙の試験を受けたほうがよいです。理由は、回答の記入が圧倒的に楽だからです。ネット試験だと
・画面、キーボードの視線移動
・キーボードとマウスの持ち替え
・金額のタイプ
に時間がかかります。紙の試験だと、この時間が大幅に短縮できるので、その分を回答を考える時間に当てられます。ネットの試験は、ほぼ365日自分が受験したいときに受験できるメリットがあるので、日付と回答のしやすさのどちらを優先するか?を考えて受験方式を選んでください。
まとめ
私は上記の方法で約60時間の勉強で日商簿記3級に合格できました。これから受験される方の参考になれば幸いです。